『ブナの原生林』というと、世界遺産である『白神山地』が有名ですが、実は伊豆市にも『ブナの原生林』があるんです。
伊豆市の天城山にあるブナの原生林は、国指定の『特別保護地区』に指定されています。
こちらは、特に優れた自然景観、原始状態が保たれている所で、いわゆる『極相林(きょくそうりん)』です。
『極相林』とは、裸地に手を加えず自然に任せた状態にしておくと、長い年月を経て植物が遷移して(うつりかわって)、最終的にその土地の気候に最も適した樹木・植物の状態にたどり着いた森林のこと。
天城山のブナの原生林は、おそらく1,000年以上の年月をかけて、現在のような形にたどり着いたのだと思われます。
伊豆市にある特別保護地区は、八丁池とその周辺、戸塚峠~小岳~万三郎岳~万二郎岳までの地域の2か所があります。
国立公園の第2種特別地域内でもある特別保護地区ですので、様々な規制もあります。
本来の生息地ではない植物を植える・動物を放すなどはもちろん規制されていますが、ハイキング中についやってしまいがちな草花を摘む、石を採集する、昆虫を採集するなども規制の対象ですので、気を付けてくださいね!
もちろん特別保護地区内はキャンプ等が禁止されています。
場合によっては検挙されることもありますので、注意してください。
ブナの森は別名『緑のダム』と呼ばれています。
ブナの森を歩くとわかりますが、落葉した葉が長い年月をかけてフカフカの腐葉土となって地面を覆い、スポンジのように雨水を受け止めて、その後ゆっくりと地面にしみこんでいくので、急激な降雨があっても土砂崩れや土石流を防いでくれます。
そして、ゆっくりとしみこんだ水は、長い年月をかけて濾過され、栄養分を含んだ豊富な地下水となります。
ヨーロッパでは、ブナが『マザーツリー(母なる木)』と呼ばれている所以です。
そんな水に育まれた、天城山麓のワサビをはじめとする農産物が美味しくないはずがありませんね。