第4回伊豆市を彩る(色撮る)写真コンテストの審査の結果と、受賞作品のご紹介。
審査員長の選評とともに、各作品をご紹介します。
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作品名:「漁港の午後」
撮影者:加藤 智子 (富士市)
審査員長選評:全く無駄のない画面構成と色抜けがよく、画面の立体感透明度の高いプリント仕上げの美しさに惹かれました。干された網目の遠くに覗く半島と富士山の重なり具合から、土肥の八木沢漁港かと思われます。手前に重ねられた漁網に何気なく有る古びた手袋も好ポイント、西伊豆らしさと共に日常性を歌っています。
作品名:「輝く春の森」
撮影者:渡辺 玲子 (賀茂郡松崎町)
審査員長選評:地面から盛り上がるような根張りの堂々としたブナのボリュームを見事に引き出しています。写真撮影には難しい光線状況ですが、林床を明るめる木漏れ日を含め、日差しの陰影を実に程よくコントロールされました。初夏の天城山系の森の輝かしさ、奥深さが画面から伝わります。
作品名:「夏だ!」
撮影者:大木 紀代子 (伊豆市)
審査員長選評:画面全体の配置と色彩バランスの効果をよく見極め、夏の日盛りの一瞬を纏まりよく捉えたスナップ感覚を高く評価します。メインの青テントと青空の彼方にもくもくと連なる積乱雲が呼応して、盛夏の灼熱感が伝わります。
作品名:「しだれ桜の寺」
撮影者:下村 俊明 (伊豆市)
審査員長選評:オオシマサクラ系の豪華で優美な花姿のシダレが恰も、寺の本堂に咲きこぼれるかのようにフレーミングされた、カメラポジションの選択、レンズワークの的確さにより生まれた映像です。花曇りの白々した空を目立たぬようにされたのも高評価に値します。
作品名:「真夜中のスカイライン」
撮影者:中西 宏嘉(伊東市)
審査員長選評:西伊豆スカイラインからの夜景と思われます。カメラのデジタル化によりこのような条件下でも難なく撮影可能となりました。フイルムカメラなら長時間露光を要するため、星の軌跡が特有の流れとなり写り込んだでしょう。夜空の色合いを帯びた路面と駿河湾の灯り、星空に浮か富士山のシルエットがバランス良く、この、空間に引き
込まれそうな誘引を感じます。
作品名:「山葵収穫の頃」
撮影者:佐藤美栄子(静岡市)
審査員長選評:見事に生育したワサビの葉を明るめる木漏れ日の輝きがとても印象的です。山深い谷間に開かれたワサビ田の環境を的確に表した画面構成であるのと、収穫作業に来た人の配置動作もタイムリーです。
隙間無く覆われた葉の元を洗う、清水の心地よい響きが聞こえそうな清明感のある作品です。
作品名:「夕照」
撮影者:佐藤 泰弘 (静岡市)
審査員長選評:空の最も高い所は茄子紺、夕照を覆う雲は赤紫から輝度の高い黄金に輝き、空を映した海原は深い紅色を讃える。シーズンに幾度と見られぬ見事な夕映えです。この光景に幸いに遭遇したカップルも暫し、立ち去りがたい思いで時を過ごしたのでしょう。その臨場が伝わる素晴らしい情景です。
作品名:「晩秋の輝き」
撮影者:綾木 恵子
審査員長選評:修禅寺奥の院境内の寂然とした気配をよく伝えています。石畳を挟んで聳えるイチョウと地面一杯に散った落ち葉のしっとりした色合いがとても魅力的に映えています。境内の奥にある滝へ至る石段の高みから、やや俯瞰するアングルで画面構成されたことで、立体感と奥行きが齎されました。画面下端に覗く手すりと石段はもう少し写し込むと、さらに、高さを感じます。
作品名:「追憶・天城越え」
撮影者:吉田 宏(神奈川県横浜市)
審査員長選評:デジタルカメラのモノクローム撮影により、大正・昭和 時代の旧天城トンネルへタイムスリップしたかのようなレトロ感を醸したのが魅力の要因。踊り子に扮装した女性の足取り視線に愛嬌があり、トンネルに向かって疾走するサイクラーの程よいブレが絶妙にマッチしています。
作品名:「ジオパークの花形」
撮影者:原 福雄(駿東郡清水町)
審査員長選評:伊豆半島は沿岸部のリアス式海岸を含め貴重な自然遺産に恵まれいます。この白鳥山の露出した巨大な岩頭は、正に、大地が息づいている証と見受けられます。凄いインパクトです。下部の重機をシッカリ写し込めば、さらに、迫力を感じます。
作品名:「ベストスポット」
撮影者:正木 剛(沼津市)
審査員長選評:若く、元気の塊のような女子達が一斉に竹越しのモミジ写メール。修善寺温泉竹の小径での一コマ でしょうが、正に、今を現したタイムリーなスナップショットです。携帯の画面がシッカリ描写されているのもグッド。
作品名:「光射す渓谷」
撮影者:濱田 猛(沼津市)
審査員長選評:木の間から射す光芒と苔むす岩間を滑る清流の輝きがとても印象的です。流れの奥に覗く木々が色 付きかけて、秋の深まりと大気の清浄を感じます。光芒と流れを中心に0,7EV程画面トーンを落とせば、一層、画面に落ち着きが加わります。
作品名:「出現」
撮影者:露木義光(沼津市)
審査員長選評:明快なタイトルと較べ深く納得。インパクトのあるコスプレ女子と明るい日差しに咲き誇る、ハナショウブの花群れが、この女性を讃え従うように見えてきます。撮影者が女性に負けていないところがいいですね。
作品名: [大平の夏」
撮影者:福井 梢(伊豆市)
審査員長選評:夏の早朝のすがすがしさが画面に溢れています。青空を渡る白雲に田の緑と川浪がよく映え、伊豆を縦貫する狩野川の佇まいを的確に引き出されました。心地よい瀬音が届く思いです。
作品名:「昇陽樹影」
撮影者:武智 是朗(神奈川県小田原市)
審査員長選評:天城滑沢渓谷の奥に停停と聳える天城山系随一の大杉、太郎杉の存在感と大きさが窺える好スナップです。Tシャツジーズ姿のカップルと共に下草に射す斜光線が、蒸し蒸しした夏の午後らしさを現しています。
作品名:「時の流れ」
撮影者:鈴木美喜男(伊豆市)
審査員長選評:仁科峠付近からの眺望でしょうか、朝日の射す斜面にはマメザクラが映え、尾根を乗っ越して山霧が漂う。その上には、白雪を纏った富士山が浮かぶ、願ってもない光景をスケール豊かに表現されました。
作品名:「秋雨の修善寺」
撮影者:横田 好博(埼玉県小鹿野町)
審査員長選評:かなりの長雨であったと見受けられます。モミジも本堂の屋根も石畳も、総てのものがしっとり濡れています。それが幸いして、潤いのある奥深い色合い、情感豊かな映像となり再現されました。流れた雨脚がとても効果を発しています。
作品名:「空中ナイアガラ」
撮影者:滝井千恵子(静岡市)
審査員長選評:夏の夜の華として人気のある花火。土肥の花火も好まれるモチーフですが、本作品は夜空を輝かせる花火と海面から立ち上る煙玉、それに見入る観衆がリズミカルで、画面に一体感があるのが魅力です。
作品名:「老木に咲く」
撮影者:鈴木由美子(沼津市)
審査員長選評:撮影対象してこのウメの老木を見ると、とても、難しい素材であったと思います。それを、光の選択を含めバランスよく纏められた画面構成を素晴らしく思います。逆光に透ける枝先の花弁と、まるで、生き物の如く見えるシルエットの枝との対比が見事です。
作品名:「今度は乗ろうね!」
撮影者:武口 君子(伊豆市)
審査員長選評:土肥港から出向する駿河湾フェリーを眺める三人の後ろ姿に、それぞれの思いが乗っているようで、後ろ姿にも表情や感情が現れるものですね。左脇の白フレームのサイクル車もフェリーを見送るようで、よいアクセントです。
作品名:「夕日の浜」
撮影者:石川 金吾(静岡市)
審査員長選評:シルエットと化した浜の松越しに鮮やかな黄金色に染まった夕日が沈みかける。一瞬、時が静止したか
のような静寂が画面に漂います。カメラポジションの選択、露光が実に的確で端然とした美しさが魅力です。TIC東京賞
作品名「緑の森」
村上 雅巳(静岡市)
審査員長選評:画面を眺めていると、爽やかな初夏の日差しを受けているかのような臨場を感じる作品です。山峡の傾斜を利して開かれた、筏場新田の環境、自然の恵みを改めて確認する、爽快感に浸る作品です。
作品名:「天高く黄金色に」
撮影者:石上 勇(藤枝市)
審査員長選評:画面を見ると、半シルエットとなったモミジの幹に誘引され、自ずと、視線が鮮やかに色付いたモミジの空に吸い寄せられていく。虹の郷のモミジの彩りの美しさは伊豆屈指ではありますが、このシーズンは格別で、正に、色彩の競演です。
作品名:「ロマンチック」
撮影者:鈴木
敏(三島市)
審査員長選評:ロウソクの灯りと、その明かりに照らされた石畳が一筋の流れのように見え、夏の宵を演出しています。 夜が深まる竹林の小径から心地よい夜気が浸透して来るような、余韻を感じる映像です。
作品名:「天高く黄金色に」
撮影者:石上 勇(藤枝市)
審査員長選評:画面を見ると、半シルエットとなったモミジの幹に誘引され、自ずと、視線が鮮やかに色付いたモミジの空に吸い寄せられていく。虹の郷のモミジの彩りの美しさは伊豆屈指ではありますが、このシーズンは格別で、正に、色彩の競演です。
作品名:「帯雲たなびく霊峰」
撮影者:広瀬 正佳(大阪府)
審査員長選評:だるま山高原レストハウスから望む、とても、幻想感豊な夜景です。その核となっているのは、富士山の中腹巻き込んで左右に長く尾を伸ばす帯状の雲。沼津市の町灯りを反映して白々と浮かんでいる様が、一層、幻想感を盛り上げました。
作品名:「秋の彩り」
撮影者:芹沢 礼秀(函南町)
審査員長選評:緻密な画面構成とモミジの色合い発色が美しく、落ち着いた秋の情景を自然に表現されているのが魅力です。背景に赤い欄干が覗くので、修善寺温泉街の桂橋付近でしょうか。秋の日が陰りかけた、穏やかな好日感を上手く引き出されています。
作品名:「雪の華」
撮影者:檀林 正浩(沼津市)
審査員長選評:針葉樹と広葉樹が混ざった森や樹林を針広葉樹林帯と呼びますが、この雪景色は正に、その針広葉樹林帯に積もった新雪が生み出した、初々しく素晴らしい光景です。早朝の光が織る斜面の陰影が画面に程よい陰影と清浄感を齎しました。
作品名:「紅葉の林」
撮影者:望月 信明(静岡市)
審査員長選評:撮影の時間帯、光線状況の見極めのよさが好結果に結びつきました。夕刻に近い西日に照らされたメイン対象のモミジの群れの配置の良さが、画面に奥行きと程よい陰影を生みました。しみじみと秋日和の恩恵に浸る心地となる映像です。