修善寺温泉街の中心地にある本寺『修禅寺』から西へ5kmほどの場所に『修禅寺奥の院 正覚寺』があります。
延暦10年(791年)に18才の空海が修業をした所といわれています。
毎年冬至の日には、一年の災厄を払い新年の幸福を祈る恒例行事『星まつり』が行なわれます。
星まつりは本来、年初めの行事ですが、修禅寺奥の院では冬至の日に祈祷します。
修禅寺は現在の宗派は曹洞宗なので本来、密教で行なわれている護摩を焚く事はないのですが、もともとは弘法大師が開祖した真言宗であったことから、その名残で1年に1度だけ星まつりの日に護摩が焚かれます。
星まつりの日に参拝客は、風呂敷包みに入れられた家族の衣服を手に集まります。
護摩壇では僧侶が五穀や、香、油などを投じて『修禅寺護摩』を焚き、参拝客が持ってきた衣服の包みは僧侶の手で護摩の炎に次々とかざされます。
この衣服を着ると新年も家内安全や無病息災が叶うとされ、毎年多くの方が参加します。
『星まつり』とは・・・人は生まれ年により定まる『本命星』が、一定の法則で運行しており、その年の廻り星である『当年星』との関係が吉凶をつかさどっています。
この星を密教(真言宗)の法により供養し、新年の除災招福を祈念する法要が『星まつり』で『真言宗』に伝わる伝統行事です。
今の修禅寺は曹洞宗の禅寺ですが、800年前までは弘法大師空海開基の真言宗であったので、弘法大師の偉業を伝える儀式として宗派を超えて受け継がれた伝統行事となっています。
修禅寺奥の院にかつては護摩堂が建っていましたが、1961年の台風の被害で倒壊し、礎石のみが残されている状態でした。
再建の話が持ち上がったのは完成の10年ほど前で、地元をはじめ多くの方から、沢山の御寄進が集まり、悲願であった再建が2015年に実現しました。
再建された修禅寺奥の院の護摩堂では、護摩が焚かれるのは年に1度の『星まつり』の日だけなので、それ以外の日は、一般的には葬儀・法要(修禅寺檀家以外でも使用可)等のほか、各種イベントやミニコンサート、ヨガ等にも使用して頂くことも可能です。
修善寺温泉街から修禅寺奥の院までの道のりは『里山の風景』が残っており、春の桜の時期や秋の紅葉の時期には気持ちよく散策する事ができ、人気のあるハイキングコースとなっています。